限られた企業(確定拠出年金を導入している企業)に勤めておられる方や、自営業者の方など(国民年金の第1号被保険者)が加入している国民年金の上乗せ年金制度の「国民年金基金」の運用の選択技として、限られた方しか利用できなかった「確定拠出年金」という年金制度が、いよいよ来年(平成29年1月1日)から、専業主婦や公務員の方も加入できるようになります。
最近よくマスコミなどで取り上げられるように、高齢者の人口割合が増加していく中で社会保障制度の中でも、老齢年金(旧共済年金、厚生年金、国民年金)の支給額の低下や厚生老齢年金の支給年齢の繰り下げ(昭和36年4月2日以降生まれの方は65歳まで年金支給がない)などが懸念され、自己努力による老後資金の準備が急務となっています。一番大きな問題が、ほとんどの会社で従来設定されていた60歳定年制度で、本当に60歳で収入がなくなってしまうと65歳になるまでの5年間、まったく定期的な収入がなく基本生活費を35万円/月、年間支出総額を420万円としても、420万円×5年=2100万円の蓄えが消滅してしまうことになります。
■年金受給者増大に対する国の方策
公的年金制度の劣化を背景に、国は民間企業にその政策の失敗を押し付けるために、高年齢者雇用確保措置の実施義務化を決定し、平成25年4月以降に改正高年齢者雇用安定法の施行を義務付けました。
さらに、老齢年金の支給額の算出にも従来の「インフレ率」だけの算出方式から、「マクロスライド経済方式」という現職世代の全人口に対する比率や、給与額も勘案した、まか不思議な年金基本額の算出方法を編み出し、年金の支給額に適用させています。
直接的ではありませんが、日本の個人金融資産の運用先が、他の先進国のなかでも、ずば抜けて預貯金割合が高いことから、投資型金融商品(株式や投資信託)への投資を推進させるため(ほんとうは年金原資の運用益を上げるため?)の「キャピタルゲイン」(値上がり益)課税を優遇する制度である「NISA」も導入しました。
これも公的年金運用先を配当中心の債券などから、株式市場への変更をするために、株式市場の長期安定上昇を「狙った」施策であるともいえます。
そして、最終段階ともいえる全国民に対してのNISAの開放である、「ジュニアNISA」の創設や、個人型確定拠出年金制度の開放という奥の手を実施することになったわけです。
国(政府)の「もくろみ」の良し悪しは、「将来の高齢者の方の生活状況がどうなったか」に委ねるとしても、我々個人生活者にとっては「有利」な制度を有効活用することによって、少しでも老後の準備資金の増大につながることになります。
実質効果としては、個人が所得から税金を差し引かれた手取り収入から「株式」などに投資するよりは、掛け金(投資元金)が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となる「個人型確定拠出年金」は、朗報と言えるかもしれません。
次回は、新しい個人型確定拠出年金の特徴と、加入可能額等について説明します。(筆者:小澤)
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