個人番号「マイナンバー制度」の現状と今後

  • 改めてマイナンバー制度創設の目的を見てみよう。

 ≪総務省ホームページより≫

 ~マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の3分野で、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されます。これまでも、例えば、福祉サービスや社会保険料の減免などの対象かどうかを確認するため、国の行政機関や地方公共団体などの間で情報のやりとりがありました。しかし、それぞれの機関内では、住民票コード、基礎年金番号、健康保険被保険者番号など、それぞれの番号で個人の情報を管理しているため、機関をまたいだ情報のやりとりでは、氏名、住所などでの個人の特定に時間と労力を費やしていました。

 社会保障、税、災害対策の3分野について、分野横断的な共通の番号を導入することで、個人の特定を確実かつ迅速に行うことが可能になります。 これにより、行政の効率化、国民の利便性の向上、さらに公平・公正な社会を実現します。~とあります。

 国の本音は、個人や法人からの税金、社会保険料の取りこぼしをなくし、その財源拡大を図っているものと思います。ただ国民の立場からみればマイナンバーを国や政府機関が一括で管轄できる以上、従来自己申告でしか引き受けなかった老齢年金の裁定請求など所得税の納税者、社会保険料の納付者の当然受けることのできる権利も粛々と履行してほしいものです。

 

  • 各省庁、組織別の浸透割合と連携状況

~マイナンバー制度における情報連携について(総務省ホームページ)

 情報連携とは、マイナンバー法に基づき、これまで国民・住民の皆様が行政の各種事務手続で提出する必要があった書類を省略することができるよう、 専用のネットワークシステムを用いて、異なる行政機関の間でマイナンバーから生成された符号をもとに情報をやり取りすることです。~

 マイナンバーの提出を求められるケースとして~法律に基づき、社会保障や税の行政事務に利用するため、勤務先や金融機関等からマイナンバーの提供を求められることがあります。

※マイナンバーを提供する際は、個人番号カード等の本人確認書類をご用意ください。なお、下記の提供を求める者から電話をかけてマイナンバーの提供を求めることはありません。

※民間事業者がマイナンバーを目的外で利用したり、行政機関と民間事業者のデータベースがネットワークでつながることもありません。

※マイナンバー制度の導入後も、行政機関が把握できる個人情報の種類は今までどおり法令に基づくものに限られており、行政機関が何でも把握できるようになるものではありません。~

 とありますが、当初予定していた提示義務から紆余曲折があり、国税庁、厚生労働省、日本年金機構の「マイナンバー」についての最新の情報を掲載しています。

 現状、税金については、NISA口座を含めた「証券口座」の開設時には既に「マイナンバー」申告義務を課していますが、公的年金の「裁定請求書」等では事実上「単身者のみ」が「住民票」「戸籍謄本」の必要資料が省略されるだけで、配偶者等がいる受給者は以前とほとんど変わらない現状であり、変更手続きのみが簡略されるだけで、元々のメリットとして挙げていた「税と社会保険の一体化」とは程遠いようです。生命保険契約については保険会社としては加入時のマイナンバー登録を呼びかけていますが、支払い事由が発生し、支払報告書の提出時に、支払先のマイナンバー記入が必要となっていますが、事実上マイナンバー登録が無くとも支払い義務があり、受取人の方と税務当局の板挟みになっているのが現状です。ただし税務署も支払報告書に」マイナンバー」記載がない(受取人の申告拒否)の場合、特に受取人の方に対しての課税の注目度が大きくなる可能性は高いと言えます。